閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

キングダム・オブ・ヘブン

http://www.foxjapan.com/movies/kingdomofheaven/

  • 場所:東武練馬 ワーナーマイカル板橋
  • 評価:☆☆★
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中世のイェルサレム市街の造形と衣裳,特に武具の再現,風俗の考証などへの関心から観に行く.
歴史的写実主義と現代的な人物造形がちぐはぐとしていて,脚本のストーリテイリングが弱い.焦点のぼけたまま,それなりに派手はあるが,『トロイ』や『ロード・オブ・ザ・リング』と比べるとはるかに中途半端な戦闘シーンの連鎖で構成されたストーリーが魅力に乏しい.主人公およびイエルサレム王の「平和主義」は,アナクロニズムであり興をそがれた歴史ファンタジーならファンタジーでもっと類型的でもよいから,リズムのある物語であってほしかった.平和主義的メッセージを盛り込むのもかまわないが,この手の映画のお約束である大規模な戦闘シーンの魅力を減じてしまってはどうしようもない.
そもそもサラディンを悪者として描かなかったために,対立軸があいまいになり,物語のめりはりも弱くなってしまった.なんで戦わなければならないのか説得力・説明に乏しい.イェルサレム王の妹と主人公の恋愛もお約束であるが,物語の中では全く生きていない余分な要素となってしまった.音楽のセンスも好みではない.選曲,主題曲ともあまりにも陳腐.
気に入ったのはライ病にかかり死期の近いイェルサレム王がかぶっていた金属製のマスクのグロテスクさ.