閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ラッシュライフ

伊坂幸太郎(新潮文庫、2005年)
ラッシュライフ (新潮文庫)
評価:☆☆☆☆

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5つの人物の日常を巡るちょっと奇妙な物語が有機的に関連し合い結びついていく様を味わう作品。エッシャーのだまし絵が扉に掲載されているが、まさにそのだまし絵のような構造を持つ小説。各物語は恐怖ミステリー風の味付けがされているが文体は軽やかで読みやすい。締めくくりにあるエピソードが小説全体に感じのよい余韻を与えている。作り込んだ物語構成と各物語の語りのわかりやすさは、この夏に見た映画『運命じゃない人』や舞台『サマータイムマシンブルース』に感じる才気と感覚と共通するものがあるように思った。