閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

十二夜

シェイクスピア・シアター
http://www2.odn.ne.jp/shkspr-thr/

黒壁のシンプルな舞台。舞台装置は椅子一脚のみ。
ドタバタ風笑いは、先日見た『夏の夜の夢』より豊富だったが、本筋の部分の展開が今日は冗長に感じられた。「阿呆」役の存在感が薄い。トレヴァー・ナンの『十二夜』の「阿呆」役を演じた俳優のグロテスクな魅力の印象が強烈すぎて、今日の役者の「阿呆」にはものたりなさを感じる。阿呆はこの劇の最後をしめくくる重要な役柄でもある。
音楽のセンスが好みではない。この劇では阿呆の歌うシャンソンも重要な仕掛けなのに、曲もさえないし、阿呆の音程も不安定。これには幻滅。
双子の再会の驚きも薄い。ヴァイオラがつけひげをさっそうとめくり、女であることを明らかにするシーンのカタルシス、トレヴァー・ナンの創意のすばらしさを思い出してしまう。僕には物足りない舞台ではあったけれど、グループできていた小学校高学年ないし中学生たちは、ドタバタギャグに素直に反応し、おしゃべりを盗み聞きするかぎり、おそらく初めてのシェイクスピア芝居をそれなりに楽しんでいた様子。彼ら彼女たちの率直な喜びは、隣に座る僕のほうまで伝染してきて、こちらも楽しい気分になった。