唐組・第36回公演
西新宿の高層ビル街の裏手に、忘れ去られたようにひっそりと存在する荒れた空地に張った250人ほど収容できるテントでの公演。そびえたつ高層ビルを背景に、雑草の生い茂る空地に建つみすぼらしいテント小屋の対照は、超現実的でSF的な風景である。よくぞこんな場所を見つけたものだ。ムシロ敷きの桟敷の狭い空間に押し込められるに感じる、上演前の独特の高揚感も楽しい。
ほとんどナンセンスのレベルに難解で破綻している饒舌なテクスト、過剰で執拗な音楽の使用、がらくたのような台詞にまじる詩情のかけらなど、唐演劇独特の味わいを満喫。役者のサービス精神あふれる達者な演技に何度も爆笑・失笑する。観客との「なれ合い」感さえ、心地よく感じる。しつこくて濃厚で、続けだと胸焼けしてしまいそうだが、70年代のアングラの残り香を伝える唐の芝居の味は何ヶ月かに一度は味わいたくなる。