閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

新春浅草歌舞伎 第一部

中村屋兄弟を中心とする若手役者による公演。今回で六回目。三階席2000円という値段が嬉しい。客席はほぼ満員。演目は古典の定番レパートリーの組み合わせだが、歌舞伎初心者の僕はいずれも初見。

歌舞伎十八番の一つ。修行を重ねた上人が、宮廷が派遣した美女の誘惑によって、いとも簡単に戒律を破り俗に堕ちるさまをコミカルに描く。たわいない話ではあるが、台詞のやりとりとか誘惑の場面の写実味と、騙されたことに気づいた上人が怒りの鬼人へと変貌する荒事の様式美の対比が面白い。
獅童は、舞台化粧していないときは、癖の強すぎる決して美男とは言えない容貌だが、化粧映えがするのか鳴神上人の扮装ではけっこう美男子に見える。亀治郎は美形ではないのだけど、女形の顔立ちとしては僕には可愛らしく見える。

勘太郎の女形を演じるのを観るのははじめてで違和感を感じる。大柄でごついおかるには可愛らしさを感じない。義太夫狂言だが、七之助の演技には定型よりも写実の要素を強くを感じた。それも大味でかなり暑苦しく「くさい」演技である。他の勘平を観たことのない僕には判断不能だが、
六段目では勘平はずっと自分の犯した罪を勘違いしていて暗く沈んでいて、最後に悲痛な愁嘆となるのだけれど、一本調子な感じがして退屈を感じてしまった。六段目は途中三〇分ほど意識を失っていた。