第一部:
『花魁草』
『櫓のお七』
- 出演:七之助、
- 評価:☆☆☆★
第三部:
『宿の月』
『怪談乳房榎』
三部制だと各二時間半ぐらい。やっぱりこれくらいの時間だと見にいきやすい。
勘三郎がいないのでチケットは取りやすかった。
第一部は北条秀司作『花魁草』と七之助が人形振りで踊る『櫓のお七』。『花魁草』は江戸の大地震と大火を逃れたところで偶然知り合った年増女郎と若い大部屋役者が、避難先の栃木で育んだプラトニックな愛の話。福助が女郎役。今回の役柄は福助の雰囲気と合っていたけれど、福助のべたべたとした芝居は何を演じても同じ色合いの人物造形になってしまう。からみつくようなしゃべり方と演技はちょっとしつこすぎて胃にもたれる感じがする。
『櫓のお七』は細かい紙吹雪のなかの人形振りの場面がやはり美しい。
第三部の田中青磁佐久の舞踊劇『宿の月』は扇雀と橋之助。この演目は寝てしまってほとんど覚えていない。円朝作『怪談乳房榎』は中村屋が近年繰り返し上演している作品だが、私は今回が初見だった。中村勘太郎の四役早替りが見どころの芝居。面白かった。早替りの仕掛けを中心に組み立てられ、様々な観客サービスが盛り込まれたいかにも中村屋らしい演目だ。勘太郎の誠実な演じぶりは見ていて心地よいが、喜劇的な演技には不器用さを感じた。年を取れば父のような愛嬌も出てくるのかな?
『怪談乳房榎』では中村小山三が91歳で舞台出演。元気そうだった。彼の登場で客席が盛り上がった。