人形劇団プーク
- 作・演出・美術:星野毅
- 照明:飯島隆
- 出演:佐藤達雄,荒川純子,市橋亜矢子,山田はるか
- 劇場:新宿 プーク人形劇場
- 評価:☆☆☆☆
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様々な大きさのハンカチーフを利用して作った簡素な人形の変幻を愉しむ作品.ストーリー性のない作品だし,人形の造型もシンプルなので退屈してしまうかなと思ったのだが,人形とスカーフの変化のバリエーションの豊かさ,計算された照明の効果で,非常に愉しめる作品であった.一瞬で別のものに変化していく布が織りなす視覚効果の可能性を追求した傑作.音楽の選曲のセンスもいい.
こじんまりしたプーク人形劇場は,その小ささゆえに心地よい演劇空間となっている.観客と舞台の距離感がちょうどよい感じだ.観客は舞台の出来事に反応しやすいし,その反応が劇場全体に共有されやすい大きさ・作りだと思う.子どもはとりわけストレートに反応するので,彼らの高揚した気分が後ろ側に座る僕にも直接伝わり,伝染してしまうような錯覚を覚える.
劇の演出もこなれていていろいろと細かい演出がされていることが素人にも感じられる.子ども向きの作品でも安易な「通俗化」はしないという意志が演出陣にあるようにも感じられ,これまでところ大人の僕が観ても退屈を感じたことはない.
そして子どもの反応の大きいこと.人形劇に対する子どもの感受性は,普通の芝居よりはるかに強いように思える.いわゆる普通の「芝居」と人形劇は,重なる部分ももちろん大きいのであるが,役者に比べると人形ははるかに「抽象度」が高いかんじがする.