演劇集団 円
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- 作:シェイクスピア
- 訳:安西徹雄
- 演出:前川錬一
- 美術:長田佳代子
- 照明:大島祐夫
- 衣裳:西原梨恵
- 出演:赤間浩一,瑞木健太郎,内埜則之,横大路伸,三沢明美,林真理花,上杉陽一
- 劇場:田原町 ステージ円
- 評価:☆☆☆
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会場は100名ほど収容できる広さで満員.春休み中のため,小学生ぐらいの子どもの観客もちらほら.
『間違いの喜劇』は昨年五月に俳優座で見たシェイクスピア・シアターの公演の印象が強く残っている.仮面を効果的に使った知的な演出だった.二組の双子の取り違えのギャグで構成されたこの作品は,設定が極めて人工的,非現実的である.演劇的仕掛けをふんだんに用いたギャグは笑劇的性格が強く,コメディア・デラルテの影響をはっきりと感じ取ることができる.
今回の演出では舞台はカーニバルの一日という設定.ただしプログラムの訳者による解説にあるほど,カーニバル的な祝祭感が演出上有効に利用されているとは思えない.
軽快なテンポの演出で退屈はしなかったが,人物の性格設定のディテイルが粗いように僕には思われた.いずれの人物も平板で愛嬌に乏しい.また演劇的誇張を強調した台詞朗唱と表情(要するに大げさでクサイ演技)は演技様式としては中途半端に感じられた.記号的なクサイ演技が基調にもかかわらず,再会の場面では涙を流してみせたりされても白けてしまう.台詞はどの役者も終始大声の一本調子でニュアンスに乏しい.冴えの感じられないのっぺりした舞台だった.
僕の後ろの列で,小学生の低学年の女の子が母親に連れられてきていた.喜劇的場面では素直に反応を示すのが心地よい.ファルス的などつきどつかれの身体ギャグだけでなく,取り違えに起因する状況ギャグにもよく反応していた.『間違いの喜劇』は二組の双子が出てくる芝居で様々な演劇的慣習を前提としたギャグが多いのだけれど(下手をするとときに大人の観客でも混乱してしまうような),小学校低学年ぐらいでも十分にその面白さは理解可能であることにちょっと驚く.