http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kabuki7/index.html
- 作:四世 鶴屋南北
- 演出・美術:串田和美
- 出演:中村勘三郎,中村橋之助,中村七之助,坂東新悟,片岡亀蔵,笹野高史,坂東弥十郎,中村扇雀
- 劇場:渋谷 Bunkamuraシアターコクーン
- 評価:☆☆☆★
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期待していたほどには面白くない.今回は自分としてはかなり高価なチケットを買っただけに,その分落胆が大きかったということもあるかもしれないが.
上演時間は休憩一五分を含み三時間四〇分ほど.全編のハイライトで見所満載のはずの浪宅の場面が勘三郎の熱演にもかかわらず単調かつ冗長に感じられた.暗い照明の後押しもあって何度か意識を失いそうになる.人形が上からどんどん降ってくる幕切れの演出は派手ではあったものの,こちらの期待を心地よく裏切るような斬新なスペクタクルに乏しい演出だった.江戸町人の日常的世界が,血みどろの地獄絵へと加速度を増しつつ変容していくときの畳みかけるような感覚も乏しい.
音楽は伝統的歌舞伎音楽ではなく,西洋楽器や民俗楽器を使った現代的な音楽が使われていた.慣れの問題が大きいとは思うが,歌舞伎の演技の様式は和楽器による音楽と深く結びついているように僕には思え,西洋楽器や民俗楽器によるBGMと役者の演技様式という新しい結合が新たな魅力を創造していたとは僕には思えなかった.むしろこの「実験」によって,歌舞伎独特の味わいのかなり大きな部分が損なわれているようにさえ感じられた.
芸達者な歌舞伎役者の中にあって,自由劇場出身で三役を演じる笹野高史がそのひょうひょうとした雰囲気で抜群の存在感を発揮していた.