製作年度:2004年
製作国:韓国
上映時間:95分
監督:キム・ギドク
製作総指揮:キム・ドンジョ 、キム・ユンホ
脚本:キム・ギドク
音楽:パク・ジウン
出演:クァク・チミン 、ソ・ミンジョン 、イ・オル 、クォン・ヒョンミン 、オ・ヨン
評価:☆☆☆☆★
これまで僕がみた三作のキム・ギドク作品同様,台詞の少ない静かな映画で,甘美で叙情的なピアノの音色が耳に残る.ピアノの響きは美しい映像の情感を引き立て,物語と言うよりは映像による韻文を味わうような深く豊かな余韻をもたらす.
手あかにまみれた陳腐な主題を極めてシンプルな表現で描写している.しかしその単純さの徹底,主題への集中の度合いの並はずれた強さのゆえに,キム・ギドクの作品は強烈な独自性を獲得する.雑味となるような要素を徹底的に削ることで,純度の高い結晶のようなイメージの本質的部分を目にしているような感覚を味わうことができる.
ちょっとあざといつくりの予告編に惑わされてはならない.女子高生の援助交際という風俗を描く映画ではない.
手応えのない現実に感じる空虚感,その中で存在することの不安定さ,無常性がこの映画の主題であるように僕は思う.そしてこの主題は他のギドク作品でも共有されている.
ギドクのシンプルで力強い物語と独創的な映像感覚がもたらす詩情には強烈な中毒性がある.詩的表現の中にすっかり耽溺してしまう.