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橋本治の教養論.著者自身が自分で書いているけれど,この作家の文体はやわらかいけれど,論理はうねうねとくねっていてとてもややこしく,わかりにくい.
読書の効用についての説明の一例.それほど独創的な内容ではないけれど,説得力のある説明だと思う.
以下に引用しておく.
「本」というものは,自分の世界観とは違う相手の世界観を,自分とは違う言語によって受け入れるようなものでもある.つまり,すべての本は,「自分が苦手な外国語で書かれたもの」という一面を持つ.[…]「本」というものは,「他人の世界観を目の前にして,それを理解するために自身の世界観を修正する」というような,とてもめんどうくさいものでもある.「学ぼう」という意志,「自分はこれをまなばなければならない」と思う謙虚さがなければ,「本を読む」ということは可能にはならない.「本を読む」には,そういう厄介さが中心にある.[…]「本なんか読まなくても大丈夫」と思う人達は,自分の中の「出来上がってしまった世界観」だけで,なんとかやっていける人達なのだ.そして,現代ではそこから問題が生まれる.なにしろ,イラク戦争は,「異質な世界観のぶつかり合い」でしかないからだ.
私は,現在の問題の多くが,「異質な他人に対する想像力の欠如」を原因にしているとしか思えない.そういう意味で,「他人というテクストを読む」が出来にくくなっているのだが,それはつまり,「本をちゃんと読めない」と同じなのだ.だからこそ,「本は要る」のだ.
橋本治『橋本治という行き方:WHAT A WAY TO GO!』,朝日新聞社,199-203頁.