RoMT
- 作:マシュー・ダンスター
- 訳:近藤強
- 構成・演出:田野邦彦
- 出演:東京都立三原高等学校選択授業[演劇]受講者
- 劇場:小竹向原 アトリエ春風舎
- 上演時間:90分
- 評価:☆☆☆☆
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先日観に行って大きな感銘を受けたRoMTの「ここからは山がみえる」、太田宏による「本編」をできればもう一度見てみたかったのだが予定が塞がっていて願いは叶わず。時間の都合がついたので高校生リーディング版を観に行くことにした。
「本編」は3時間だが、リーディング版は90分の長さ。一人芝居として書かれているオリジナルのテクストを、男性二人、女性二人の四人で演じる。オリジナルは6章構成だがその中から4章を抜粋し、上演台本はさらに削除や変更を加えたものになっている。「指を入れてどうした」等の生々しい性交描写は省略されていた。各章で別々の役者が語り手であるアダンの役を担当する。
都立高校の選択授業である演劇の受講生から選抜されたという高校生の演技は思った以上に達者だった。演劇が選択科目のひとつとしてあるなんて素敵な高校だと思う。選択科目である以上プロを目指す学生のための授業ではないはずだ。丁寧に演出指導が入っている感じがした。素人でもこのレベルの表現を引き出すことは可能なのだ。三時間一人芝居のインパクトを強さを思うと高校生四人版は物足りないのだが、戯曲のよさはしっかりと伝える舞台だったと思う。
彼らにとって同年代の人物を演じることにわけだが、同年代だけにリアルな表現に向かうことにかえって抵抗感があるような気がした。台本を読むリーディング公演とはいえ十分にうまい演技ではあったが、台詞を定型的に処理し無意識のうちにリアルに肉薄するのを避けようとしているような気がした。いや同じ年代であっても、あきらかに彼らにとっては異質なものとしてアダンの青春は提示されていたように私には感じられた。