遊園地再生事業団 #16
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- 作・演出:宮沢章夫
- 舞台監督:海老沢栄
- 照明:齋藤茂雄
- 美術:大泉七奈子
- 映像:岸健太朗、今野裕一郎、井上真喜
- 衣装:岩倉めぐみ
- 出演:若松武史、鎮西猛、上村聡、時田光洋、三科喜代、田中夢、橋本和加子、鄭亜美、杉浦千鶴子、佐藤拓道、二反田幸平、今野裕一郎
- 作曲:桜井圭介
- 上演時間:2時間20分
- 劇場:三軒茶屋 シアタートラム
- 評価:☆☆★
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ブログなどの記述からある程度予想していたが、いかにも頭でっかちでスノッブな雰囲気が漂う作品だった。
表現方法は非常に洗煉されている。鳥居、田舎の観光地の入口にある「ようこそ!」とかかれたゲート、あるいは凱旋門を思わせる灰色の鉄骨で組み立てられた巨大な門が中央にどっしりと据えられていて、鉄骨で縁取られ、内側は2メートル四方の格子状になった舞台は、舞台奥に向かってゆるやかに上り方向に傾斜している。床の格子のマス目には、一升毎に砂が入っている。
舞台中央奥の鳥居には時折、中央空間の2/3ほどを覆うスクリーンが張られ、そこにはどこかのニュータウンを車から撮影した映像、あるいは劇中、そのゲートの後方で演技する役者たちをリアルタイムで撮影している映像が流れる。ただし劇の最後にそこに映し出される映像は、森とその森にある河の流れ、そしてパレスチナである。劇中で使われる音楽の選曲およびその控えめな使用にもセンスのよさを感じる。役者の立ち位置や動き方の工夫が美しいイメージに満ちた絵を描き出し、役者たちの台詞回しや演技もスムーズでリズムがある。
極上のインスタレーション・アートを眺めるような舞台ではあったのだが、物語のほうは断片的なイメージが説明不足のまま接合されているような感じで僕には意味不明のコラージュを2時間以上にわたって無理矢理見せられているような感じだった。観客の想像力に空白を委ねる、という言い方もできないではないけれど、そもそも一つの作品としてイメージを再構築していくだけの知的な体力が作者に欠如しているように僕には思えた。非常に美しく洗煉された舞台表現で、いかにも知的でお洒落な雰囲気が漂う芝居であったが、僕にとっては独りよがりで、恐ろしく退屈な作品だった。