http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_07_caligula.html
- 作:アルベール・カミュ
- 翻訳:岩切正一郎
- 演出: 蜷川幸雄
- 音楽:朝比奈尚行
- 美術:中越 司
- 照明:大島祐夫
- 音響:鹿野英之
- 衣裳:小峰リリー
- ファイトコレオグラファー:國井正廣
- 舞台監督:芳谷 研
- 出演:小栗 旬 勝地 涼 長谷川博己 横田栄司 月川悠貴 廣田高志
新川將人 冨岡 弘 塾 一久 青山達三 磯部 勉 若村麻由美
- 上演時間:3時間20分(休憩20分)
- 劇場:渋谷 Bunkamuraシアターコクーン
- 評価:☆☆☆☆★
カリギュラを演じた小栗旬の熱演に感服する.生に対する絶対的虚無感と絶望に沈む純粋な魂を具現したような寓意的な人物であるカリギュラのイメージをしっかりと描き出す名演だったように思う.『カリギュラ』は初演時,フランスの伝説的男優ジェラール・フィリップによって演じられたという.小栗旬のカリギュラに,ジェラール・フィリップの姿を重ねて想像した人は少なくないのではないだろうか.
物語は緻密な言葉の集積によって,驚異的な密度を保ったまま進展していく.カリギュラと彼の分身であるような人物,詩人のシピオン,反逆の徒ケレア,愛人セゾニアが,舞台上二人きりで行う哲学的対話だけで成立している場も多い.しかし舞台の緊張感はとぎれることはなく,観客の注意を喚起し続け,その膨大なことばに耳を傾けさせる.
幕切れでカリギュラが叫ぶ「おれはまだ生きている」という叫びの力強さと美しさに陶酔する.