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EVERY LITTLE STEP
- 上映時間:93分
- 製作国:アメリカ
- 初公開年月:2008/10/25
- 監督:ジェームズ・D・スターン、アダム・デル・デオ
- 製作:ジェームズ・D・スターン、アダム・デル・デオ
- 製作総指揮:ジョン・ブレリオ
- 編集:フェルナンド・ヴィレナ、ブラッド・フラー
- 音楽:ジェーン・アントニア・コーニッシュ
- 映画館:新宿ピカデリー
- 評価:☆☆☆☆★
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マイケル・ベネットのミュージカル、『コーラスライン』の2006年再演のオーディションを記録したドキュメンタリー。3000人にのぼる応募者が8ヶ月間にわたるオーディションのなかで選抜される様子が映し出される。
歴史的な大ヒット、ロングランを記録したミュージカルのブロードウェイでの上演のキャストとなると、ダンサー/歌手として一流の輝きを持つ人間がしのぎをけずることになる。
こうした選抜の場を支配するのは冷酷な運命論である。夢がかなえられる恵まれた者、ムーサの祝福を授けられる者は、あらかじめ定めらているかのように僕には感じられている。かなえられる運命にないものはいかに努力したとて空しい。もちろん審査員との相性や役柄、当日の体調なども影響するだろう。しかしそうした運の要素も含め、選ばれしものは選ばれるべくして選ばれたかのように思えてしまう。
オーディションの各場面で、各人の、個性の違いと言ってしまうと欺瞞に感じられるような、微細なオーラの等級の違いがあらわになっているような気がした。オーディションを受けるものはみな、それぞれの全存在を賭けて必死に戦っているだけに、こうした違いがよけい痛々しく感じられる。
『コーラスライン』は映画版をDVDで見たことがあるが、群舞の場面などをのぞき、地味で散漫なレビューのように感じ、作品自体は期待していたほど面白いとは思わなかったが、今、再見すれば印象は異なるだろう。
オーディションの様子を記録したこのドキュメンタリーは、虚構化されない現実のコーラスラインの世界を映し出している。圧倒的多数は夢をかなけることができなかった無残な敗者だ。選ばし者たちの輝かしい栄光と歓喜は、多数の「屍」の無念と羨望を背負っていることをこのドキュメンタリーは照らし出している。幸運な恵めれた勝者への賞賛と、敗れ去った多数の者たちへの深い憐憫の両方をあわせもった視線が、オーディションという運命の場を感動的に描きだしていた。 濃厚な93分だった。