http://www.shochiku.co.jp/met/program/0910/
- 指揮:Edo de Waart
- 演出:ナサニエル・メリル
- 出演:ルネ・フレミング(元帥夫人)、スーザン・グラハム(オクタヴィアン)、クリスティーネ・シェーファー(ゾフィー)、クリスティン・ジグムンドソン(オックス男爵)
- 映画館:新宿ピカデリー
- 上演時間:4時間20分(休憩二回)
- 評価:☆☆☆☆☆
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素晴らしい舞台だった。オベラという芸術の贅沢さを存分に味わうことのできる舞台だ。豪華で叙情的で優雅で猥雑で、渾沌のなかに豊饒な魅力がきっちり詰め込まれている。
ホフマンスタールの脚本が素晴らしい。ルネ・フレミングが演じる元帥夫人の心の揺らぎはマリヴォーの劇の登場人物を思わせる。メゾ・ソプラノが若い騎士を演じ、元帥夫人、ブルジョワ娘で恋のやりとりを演じるだけでなく、その騎士の女装が男爵を欲情させるという倒錯のエロティスムが、ロココな恋愛を多彩に描き出す。そしてこの軽薄でギャランで退廃的な恋愛のどたばた喜劇が、三幕後半の三重唱の崇高さに愛の真理を歌い上げることによって深い陰翳を獲得する。鳥肌ものの感動。
饒舌な音楽が物語をさらに豊かに肉付けしていく。歌手もオケも、音楽のパフォーマンスの面でも圧倒的に素晴らしい公演だった。歌手の《役者》としての演出も細かい。歌唱技術は超一流なのは言うまでもないが、演技者としてもルネ・フレミングは本当にチャーミングだ。この舞台を見て彼女のファンにならないなんてあり得ないと思う。幕ごとに場面が変わる美術のゴージャスさにも魅了される。