- 構成・演出:安田雅弘
- 原作:ソフォクレス
- 美術・照明:関口裕二
- 音響:斎見浩平
- 衣裳:竹内陽子
- 出演:山口笑美、倉品淳子、越谷真美、植田麻里絵、三井穂高、小栗永里子、安部みはる、谷口葉子、村田明香、山本芳郎、浦弘毅
- 劇場:浅草 アサヒ・アートスクエア
- 上演時間:80分
- 評価:☆☆☆☆
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山の手事情社の舞台を見るのは今回が初めてだった。
極めて様式性の高い舞台で、役者の動きはかなり激しく、身体への負担はかなり大きいように見える奇妙な動きを強いられる。中心部で演じる女優たちはゆらゆらと身体をよじりながら動き、つんのめるように静止する。その不自然な「見得」のポーズが不気味でかつ美しい。台詞回しも独特の抑揚がつけられおどろおどろしい雰囲気を醸し出しているが、若干単調にも感じられる。
独自の身体表現と様式美はSCOTやク・ナウカを連想させるところがある。原作に強烈なデフォルメを加え、隠喩的表現に富んだ美しいビジュアルを作り出しているところにも。ギミックの数々と作品解釈が少々図式的、人工的、機械的過ぎるように感じられるところもあったが表現の強度と密度は凄かった。。
横幅8メートル、奥行きと高さが3メートルほどの白い木枠が中央にあり、白いヴェールが何枚かかかっている。周囲より一段高くなっているこの木枠が主舞台で、柔らかな照明に照らされた枠内では白い服を身にまとったかげろうのような女優たちがオイディプスの物語を語り、演じる。中央舞台の中心にはテレビが一台置かれていて、そのモニターはコンピュータのプログラムないし台詞のようなものを順次映し出している。私の座っていた席からは文字を読むことができなかった。
中央で物語を語り、演じる女優たちは女優はぜんまい仕掛けのマネキン人形のようだった。男優は黒装束を身につけ、枠のある中央舞台の周囲で主にコロスとして集団で動き回る。出番が終わった女優は男優によって中央から外側の黒い世界にかなり乱暴なやりかたで放り投げられる。男優たちによって暴力的に無造作に、モノのように取り扱われ、弄ばれる女優たちの姿は悲壮であり、マゾヒスティックでもあった。
オイディプスの物語に様々な隠喩的表現が重ねられていて一度の観劇では捉えきれないところもあったが、オイディプスの悲劇の本質はしっかりと提示されているように感じた。役者の身体表現のポテンシャルを引き出すようなインパクトのある舞台だった。