映画「白いリボン」 | お知らせ白いリボン(2009)
- 上映時間:144分
- 製作国:ドイツ/オーストリア/フランス/イタリア
- 初公開年月:2010/12/04
- 監督:ミヒャエル・ハネケ
- 製作:シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、ミヒャエル・カッツ
- 脚本:ミヒャエル・ハネケ
- 撮影:クリスティアン・ベルガー
- 衣装デザイン:モイデレ・ビッケル
- 編集:モニカ・ヴィッリ
- ナレーション:エルンスト・ヤコビ
- 出演:クリスティアン・フリーデル、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクール、フィオン・ムーテルト、ミヒャエル・クランツ、ブルクハルト・クラウスナー、ライナー・ボック、スザンヌ・ロタール、ウルシーナ・ラルディ、シュテッフィ・クーネルト、ヨーゼフ・ビアビヒラー、ブランコ・サマロフスキー
- 映画館:銀座テアトルシネマ
- 評価:☆☆☆☆★
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「隠された記憶」の展開と「カフカの『城』」の描写が組み合わさったような雰囲気の映画だった。
東京では銀座テアトルシネマでしか上映がない。日曜日の午後はいずれの回も満席だった。
シャープで引き締まったモノクロの映像がピンと張った糸のような緊張感を感じさせる。
第一次世界大戦前夜の北ドイツの村が舞台。村の大地主である男爵一家、男爵の畑で働く小作人一家、牧師一家、医者とその隣に住む助産婦、この4つの家族の成員の間に起きたいくつかの不可解で不気味な事故が、村の学校教師によって報告される。この教師と男爵一家で乳母をしていた若い娘とのロマンスが、一連の悲劇的エピソードの間に挟み込まれる。
第一次世界大戦前夜の不穏の空気がこの村の日常に影響したかのように、田園牧歌的な素朴な美しさに満ちたこの村にとらえどころのない闇が広がっていく。偶発的な事故に過ぎないようにも見えるが、閉鎖的な農村の日常のなかで長年にわたって蓄積された歪み、欺瞞が、第一次世界大戦を前に徐々に吹き出てしまったような感じもする。疑心暗鬼が徐々に深まっていくが、村人たちはこの闇を解決するすべを知らない。
ショッキングな場面はないが背中をすっと鋭利な刃物で切られたかのような恐怖感を感じながら見た。曖昧なままのすっきりしない後味を抱え観客は映画館を出ることになる。そのうやむやなところがいかにも皮肉かつリアルだ。