閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ぼちぼちいこか/三びきのやぎのがらがらどん

人形劇団プーク
人形劇団プーク
ぼちぼちいこか

  • 原作:マイク・セーラー
  • 訳:今江祥智
  • 脚色:生田麻理子
  • 演出:井上幸子
  • 人形美術:川口 新
  • 装置:鈴木英夫
  • 音楽:マリオネット(湯浅 隆・吉田剛士)
  • 照明:三上つとむ
  • 音響効果:吉川安志
  • 評価:☆☆☆☆

三びきのやぎのがらがらどん

  • 脚色:中江隆介
  • 潤色・演出:安尾芳明
  • 美術:若林由美子
  • 音楽:堀井勝美
  • 照明:阿部千賀子
  • 音響効果:宮沢 緑
  • 振付:市川裕子
  • 評価:☆☆☆☆
  • 出演:中山正子、亀井佑子、大橋友子、門田晃、伊井治彦
  • 劇場:新宿 紀伊國屋ホール
                          • -

2011年初芝居は昨年に引き続き人形劇団プークの紀伊國屋ホール公演。妻、娘、息子と私の家族四人で観に行った。演目はかばがいろんなことに挑戦するとぼけ風味のナンセンス・コメディの「ぼちぼちいこか」と北欧民話絵本の翻案「三びきのやぎのがらがらどん」の二本立て。
プークは間口の狭いプーク人形劇場のぎゅっと圧縮されたような雰囲気で見るほうがやっぱり面白くて、大きな劇場での公演は今ひとつ完成度が落ちる感じがするのだが、今日の公演は楽しんで観ることができた。隣に座っていた息子も楽しそうに見ていたが、息子のみならず会場全体の子供たちの反応が活発でそうした客席の反応も含め楽しい観劇になった。

前半の「ぼちぼちいこか」はポルトガル・ギター、クラシック・ギターマンドリンなど複数の撥弦楽器を演奏するデュオ、マリオネットの生伴奏での上演だった。撥弦楽器の軽妙な響きが作品を華やかに彩る。カバがピアノ演奏者、綱渡り芸人、バレリーナなどいろいろな職業に挑戦するのだけれど、その重量と不器用さゆえにことごとく失敗するさまを描くナンセンスコメディ。失敗すると一旦退場し、再登場する度に服装が代わる。「次は何をやるのかな、どんな格好で出てくるのかな」という期待で子供たちの関心をつなぐ。失敗ぶりの可愛いらしさが大人にとっても微笑ましい。手品のパートがもっと派手に鮮やかに決まればもっとよかったのになと思った。人形操作と手品の両方をうまくやらなければならないので大変だと思うが。

「三びきのヤギのがらがらどん」は絵本のベストセラーで私も子供の頃読んだことがある。原作では三匹目の大ヤギはかなり凶暴で恐い感じだったように思うが、プーク版ではミュージカル風味で明るい雰囲気のなかで話が展開する。三匹のヤギは人形だが、彼らが立ち向かう怪物トロルは毛むくじゃらの巨大な着ぐるみで表現していた。このトロルの造形がとてもユーモラスだった。トロルが登場したとたん、客席の小さい子供たちから悲鳴が上がった。愛嬌たっぷりのトロルの活躍ぶりに子供はとてもよく反応していた。最後に三匹のヤギにトロルがやっつけられる場面ではうちの息子も大興奮で大喜びしていた。これだけ喜んでくれたなら連れて行った甲斐があったというものだ。