五月花形歌舞伎の演目と配役 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
昼の部
夜の部
久々の歌舞伎昼夜通しの観劇。疲れた。面白かったのは愛之助、福助の『女殺油地獄』。殺害の場での凝縮された感じがたまらない。福助が演るとどろっとした感じで、凄惨味が増し、緊迫感があった。お吉の生への本能的執着と、その様子にますます興奮し、サディスティックな衝動を加速させる与兵衛の対比の倒錯的な面白さ。
愛之助と福助の「女殺油地獄」、よかった。殺害の場での凝縮された感じがたまらない。福助のお吉、殺害の場でどろっとした妖気で満たされた感じがして、凄惨さが増していた。「紅葉狩」は印象にほとんど残っていない。『西郷と豚姫』はダラダラとした弛緩した一時間の芝居。このたるさが心地よいとも言えるけれど、つまらない。こういういい人のいい話の芝居、私にはよさがよくわからない。
三島歌舞伎の代表作とされる「弓張月」はこれまで見たことがなかったので期待が大きかった。歌舞伎ならではの趣向が盛り込まれた娯楽性の高い作品だったが、期待していたほどには楽しむことができなかった。二十世紀の作曲家が作ったバロック音楽を連想する。南北の人工的な偽作という感じ。盛りだくさんのわりには、なぜか退屈。無駄に長い。染五郎が演じる主人公の為朝、舞台上で大活躍なのだけど、その割にはなぜか影が薄い。最後は宙乗りのサービスが欲しかったような。見終わったあと、ぐったり。