- 上映時間 :102分
- 製作国 :フランス
- 初公開年月:1971/11/13
- 監督:ジャン・オーレル
- 原作:プレヴォー
- 脚本: ジャン・オーレル、セシル・サン=ローラン
- 撮影:エドモン・リシャール
- 音楽:セルジュ・ゲンズブール
- 出演: カトリーヌ・ドヌーヴ、サミー・フレイ、エルザ・マルティネリ、ジャン=クロード・ブリアリ
- 映画館:新宿ピカデリー
- 評価:☆☆☆★
ドヌーヴ主演のこの作品は今回の特集上映まで知らなかった。1967年制作の映画。ドヌーヴの美貌(といっても私はそれほどこの女優の顔が好きなわけではないのだが)の最盛期に、アベ・プレヴォの『マノン』を演じるというのだから、是非見てみたいと思った。プレヴォの小説は、作者と同時代の18世紀後半が舞台となっているが、この映画では時代設定を1970年に映している。取材先の日本からフランスに戻る飛行機への搭乗前に、ジャーナリストのデ・グリューは同じ飛行機に乗る美女、マノンに一目惚れ。二人は恋仲となるが、贅沢好きのマノンは恋人を裏切ることに躊躇せず、金持ちの初老の男との二股恋愛を続ける。デ・グリューは徐々にマノンのペースに巻きこまれ、彼女に翻弄されるまま、仕事を放りだし、社会的廃人への道へと脚を踏み入れていく。
物語は人物の心理描写を介さずにとんとんとテンポ良くに展開していく。とにかく軽く、薄っぺらい。この表層的ですかすかな雰囲気が、移り気でとらえどころのないマノンの人物設定と合っている。若干クリームがかった画面の色合いも洒落ている。原作とは大きく異なる結末にはびっくりした。こんな唐突で投げやりな終わりかたとは。若きドヌーヴの美しさが、ファッショナブルな衣装とアンチ・ロマンチックでクールな演出によって引き立っていた。