斎藤美奈子(文春文庫,2006年)
評価:☆☆☆☆
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80年代から90年代にかけて一世を風靡した作家八人を論じる.対象となった作家は村上春樹,俵万智,吉本ばなな,林真理子,上野千鶴子,立花隆,村上龍,田中康夫.個別の作家論を通し,バブル経済期からバブル崩壊後の知的大衆の精神的風土が描かれている.ちょうどその時代,僕は大学浪人から大学学部時代だった.あの当時の自分のアホさとかっこ悪さを想起してしまうが,時代自体が今と比べてもかなりアホっぽかった感じもある.自分はあの時代の薄っぺらい雰囲気に何の抵抗もすることなく乗っかっていた.
この著作で取り上げられる最初の三人の作家が生協の書店のベストセラーであり,軽やかで乾いた感じでポップな「純文学」が当時は実に新鮮に感じられたものだ.とりわけ地方出身の東京の大学生にこうした作家は支持されたのではないだろうか.