閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

天国と地獄

演劇キックプロデュース
http://www.kegawazoku.com/stage/handh.html

「狂騒的」ということばをそのまま具現化したような派手で騒がしく、阿呆で無意味なエネルギーに満ちた舞台で、思いの外楽しんでしまった。
最初のうちは荒っぽくルーズな雰囲気の演出やくどすぎるように思われたベタなギャグの連続にうんざりして幕間休憩で帰ってしまおうかと思ったのだが、次第にその猥雑な世界の中に引き込まれてしまった。カンカンなどの群舞の場面の独特の下品さが漂うにぎやかさと華やかさも充実した見応えがある。
ハート型のニプレスをはって露出した乳房のゆれも、エロばかばかしい魅力に満ちていた。町田マリーだけが、ニプレスを薄手の肌色密着下着の上につけて、本物の乳房を隠そうとしていたのはとても残念。ものすごく見てみたいというわけではないが、他の女優が乳房を露出した身体をはった芝居をしている中で、一人だけ疑似裸体だと見ていて白けた気分になってしまうのだ。
破天荒な雰囲気にもかかわらず、原作の構成は「序曲」も含め、かなり忠実に踏襲しているようだ。ミュージカル・シーンの設定もよく計算されている。その独特のぐだぐだとしたルーズな雰囲気にもかかわらず、正統派ミュージカル、オペレッタとしても評価できる作品になっていたように思う。