閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

音と言葉と身体の景色 vol.7 舞え舞えかたつもり/椅子と伝説

身体の景色
<音と言葉と身体の景色>
「舞え舞えかたつむり」

「椅子と伝説」

  • 出演:吉植荘一郎(ク・ナウカ オフィス)、小川恵子(イプセンを上演する会)、石井統、深町麻子(キンダースペース)、中村太一、福寿奈央
  • 作:別役実
  • 構成・演出:身体の景色、田中圭
  • 照明:小川伊久馬(SECT)
  • 音楽:松田幹
  • 劇場:日暮里 d-倉庫
  • 評価:☆☆☆
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身体の形式こと岡野暢と田中圭介による演劇ユニットの公演。カンパニー名が身体の形式らしい。パンフにある連絡先を見ると主宰の岡野氏はうちのすぐご近所さんのようだ。別役実の戯曲の二本立て公演だった。出演者は山の手事情社ク・ナウカ、SPACなどから集められていてかなり豪華だった。

別役実の作品はこれまで何本か見ているけれど、演劇集団円のこどもステージで上演された作品を除いて私は面白いと思ったことがない。今回の上演ではかなり極端なデフォルメが加えられていたようだが、やっぱりあまり面白いとは思えなかった。
演出はアングラ系で演者の特異な演劇的身体が強調されていた。演者の動きのキレがとてもいい。70年代の歌謡曲に合わせてのコミカルな群舞場面は見応えがあった。また「鈴木忠志系」の役者たちが揃っていたので、台詞の声の通りがとてもいいのも印象的だった。舞台の雰囲気は三条会を連想させるところがあった。

オリジナルの戯曲はかなり徹底的に解体されていたようだけれど、テクストの扱いの乱暴さが雑に感じられた。かみ合わない言葉のやりとりによって構築される不条理劇が特異な身体表現によるファルスに変換されているような感じだったが、そのどちらのスタイルも私の好みからはちょっと外れていた。