閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

コンタクト・ゾーン

篠田節子(毎日新聞社,2003年)
コンタクト・ゾーン
評価:☆☆☆★

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二段組509ページの長編.『弥勒』の別バージョンという感じの小説.30代のオールドミスのキャリア・ウーマン三人が南洋の架空の小国の内戦に巻き込まれて苦闘を重ねる冒険小説.日常性と非日常性の粗っぽい混交はいかにも篠田節子らしい.『インコ』も同系列の話だな.エコフェミを自称しつつ,イデオロギーを主人としない確固たる現実思考で人間を客観的に皮肉に観察する視点がこの小説でも生かされている.
『弥勒』とは同工異曲の感もあるが圧倒的な描写力でぐいぐいと読ませる.