渡辺淳(丸善ライブラリー、2000年)
ISBN:4621053191
評価:☆☆
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最初の三章ではシェイクスピア、ブレヒト、ベケット、チェーホフをとりあげることで、第二次世界大戦後の演劇の世界を概観する。こうした作品をヨーロッパの演劇/映画界がどう受容/表現してきたか、また日本の演劇界にどのような形で影響を与えたのかがしめされている.
残りの章は、日常性演劇の潮流としてフランスの事例を紹介した後,日本の三谷幸喜、井上ひさし、若松了、平田オリザなどの事例に触れる。
著者の選んだ視点は戦後演劇の姿を敷延する上で妥当である。しかし現代思想や世界情勢などの大問題・大議論の表象として演劇作品をとらえるような大風呂敷が鼻につく。文章も読みやすくない。作品名の羅列に終わっているような記述も多い。たかが演劇作品に時代状況の反映を過大な意味付けともに読み解くような議論は、芸能のこけおどしめいた過大評価に僕は感じられる。どんな優れた上演とはいっても演劇の聴衆の動員数などたかがしれたものだ。影響力も結局業界のオタクどもの間だけのことである。
著者は仏文畑の人。語るべき高尚な思想なりなんなりがあって、結論から表象を見ているような感じ。反面教師。