四季によるフランス現代作品の上演舞台の観賞は二度目.数年前にジロドゥの『オンディーヌ』を観ている.
『アンチゴーヌ』だが上演二時間強のうち半分以上は寝てしまった.このところ朝から夕方までフランス語講師の仕事が入っていて寝不足気味なのだが,眠気に対する耐性のなさがナサケナイ.この状態なのでまともな「評価」などとうてい出来ないのだが.
人物の配置と照明の効果による視覚的にしまった感じ美しい舞台.役者の声も,若干エコーがかかりすぎだが,台詞としての表現をふまえた上で劇場の隅々までよく響く.にも関わらずアンチゴーヌの朗誦には単調さを感じてしまったのだが.視覚的に緊張感ある均整美が提示され,アンチゴーヌの死への衝動の高まりを見せるクライマックスやラストシーンの余情ある表現なども印象深かったのだが,どこか平板に感じる舞台.といってもこちらは半分以上睡眠していたからよいとかわるいとかの判断はできないのだが.この戯曲の上演に際しての最低限の課題はすべてこなしているようには思ったが,どこか物足りなさが残る舞台だった.
客席はほぼ満席.アヌイの「アンチゴーヌ」のような「本格的」作品で、大きな劇場ではないとはいえ、満席にして一月弱公演を続けることのできる四季の動員力には驚嘆.それにこんな渋い作品にこれほど多くの観客がいるとは.
6500円もったいなかった.やはり観劇はコンディションを整えないと.