閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

戦場のピクニック・コンダクタ

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  • 劇場:下北沢 本多劇場
  • 評価:☆☆
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坂手洋二の脚本でク・ナウカの看板女優である美加理の出演,それに生演奏の入る音楽劇で,流山児の演出となれば,食欲を大いにそそられる.先日シアタートラムの『いとこ同志』公演の際のちらしでこの公演を知り早速予約したのだった.
1991年に上演した戯曲の改訂版とのことだが,いかにも若書きという印象をまぬがれない.中途半端で意味の少ない韜晦や大きな枠組みの物語の導入などの荒っぽさに書かれた時代を感じてしまう.流山児の演出はすかすかのアングラ劇という感じ.舞台美術自体も中央にそびえ立つ中が空洞になった巨木のオブジェだけというシンプルなものだったけれども,脂っこさに欠けるしまらない舞台だった.役者の大仰な,今では古くさく感じる,台詞回しも空回り.特に主演を張っていた若松武史の一本調子の演技にはうんざり.ギャグもリズムがわるくて笑えない.音楽の使い方もいま一つ.センスの感じられない舞台だった.ちょっととんがってがんばっている学生劇団といった雰囲気.
期待が大きかっただけに失望が倍増.

今日は大学から原付で下北沢に向かった.原宿から井の頭通りを進み,環七にぶつかるとそこを左折して,新代田橋の駅の隣で路地を五分ほど後戻りで,小田急の下北沢駅が見える.駅からちょっと離れたところにあるスポーツクラブの駐輪場にバイクをこそこそと止めて駅のほうに戻るが,普段は新宿から小田急で駅につくとそのまま劇場方面に向かうので勝手が違う.どうやらいつもとは反対側にいるようなのだが,なかなか見慣れた雑然とした風景にたどり着かずあせる.一瞬,「下北沢」をどこか別の場所と錯覚していたのではと不安になる.かなり洗練されたけっこうな繁華街を15分ほどさまよう.夢の中の空想的な町中を歩いているようなたよりない気分.結局小田急の駅の改札までのぼって,駅を横切って下に降りるといつもの風景にようやくたどり着いた.普段は下北沢繁華街の1/4ほどのエリアをうろうろしていただけだったのに,それで下北沢の脳内地図が完成してしまっていたから,こんな錯覚を覚えたようだ.劇場が三つもあるほうが当然駅周辺の中心街だと思いこんでいたのである.