テッド・スタンガー(新宿書房,2004年)
評価:☆☆☆☆
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何ともセンスの感じられない邦題であるが,原題は「Sacre Francais ! Un Americain nous regarde」で案外直訳に近い.著者は在パリ10年以上の「ニューズウィーク」誌の記者.これまでに読んだことのあるフランス現代社会の問題を扱った類書の中では,飛び抜けて辛辣であり,皮肉が効いていて,知的.ジャーナリズム,移民,労働運動,社会保障,官僚社会,知的スノビズムなどフランス在住の外国人が衝突しがちな疑問を,明確に言語化して的確に揶揄する.日本人の書いたフランス社会についてのエッセイにも,フランス社会の問題点を指摘したものはあるけれど,パリおよびフランス文化への「愛」,複雑なコンプレックスゆえに,スタンガーのこの本ほど鋭い切り口の批判は難しい.訳文は在仏の元編集者によるものだが,リズムがあって上手な訳.