閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

血風ロック

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=149491

  • 場所:早稲田 早稲田大学井深大記念ホール
  • 評価:☆☆☆★
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早稲田大学演劇博物館主催の上映会.演博では流山児☆事務所の企画展を行っていて,その一環.第二部で月蝕歌劇団高取英と少年王者館の天野天街と流山児祥のシンポジウムあり.映画は大阪で現実にあった銀行強盗事件をモチーフにイメージを膨らませたもの.刑務所から出所した男が銀行強盗を行い,めったやたらと殺しまくるという話.これに男の回想(主に恋人との性行為のシーン)などが脈絡なくかぶさる.最後の場面は男がシャッターの閉まる銀行前でたたずむ,映画冒頭にあったシーンに回帰される.このシーンによって,これまでの殺戮劇が男の妄想なのか現実にあったことなのか,その境界が曖昧になる.
当時小劇場で圧倒的なアイドルだった美加理が出演.唯一殺されない人質の銀行員.殺戮など他人事のように平然とふるまい,男を魅了するコケットでシュールな銀行員を演じる.不思議少女をそのまま演じているのだ.美加理のヌードと濡れ場の映像あり.これがこの映画の一番の見所か.男の妄想の中で,美加理演じる銀行員は男と性行為にふける.美しいおっぱいだった.
映画自体は味わいにとぼしい乾いた作り.主演俳優のドライな荒れぶりがかっこいいが,内容の空虚さと軽やかすぎる展開にものたりなさも感じる.
今回の上映はなんとビデオだった.大画面での鮮明な映像を期待していたのに.せっかくのイベント上映会での大学のせこさにしらけてしまう.
第二部の「バトルトーク」は予想通り薄い内容のものだったが,高取英の寺山暴露話で面白いエピソードがいくつか紹介される.「偶然性の演劇を言っておきながら,市街劇の上映で住民の通報によって警官がやってくるという絶好のハプニングに青くなる」などの神話のヴェールはがし.寺山の嘘つきぶりは確信犯的なエンターテイメントの側面もあって僕はかなり好感を持っている.