舞踊を中心とする所作劇。前半2/3は歌舞伎版『ピグマリオン』。名工が自分がみそめた太夫そっくりの人形をつくったところ、その人形が踊り出す。名工の女房が、旦那の酔狂なお遊びにいそいそと付き合うのがおかしい。舞踊はコミカルで飽きさせない。最後の1/3はとってつけたような全く別の話。この夫婦が匿っている姫を取り戻しに、大勢の大工連中が名工に襲いかかる。大工道具をつかっての立ち回りを舞踊化したもの。客受けする舞踊の提示のために、こうしたばかばかしく強引な展開の物語を立ち上げてしまうところに感嘆する。いかにも「歌舞伎」らしい大らかさであるように自分には思われる。人形のコミカルな動きを大いに楽しむ。