閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

第十八回歌舞伎フォーラム公演

http://www.atpa.jp/05/kabuki/matuou%20shousai.htm

  • 場所:両国 江戸東京博物館
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  • 第一部 「歌舞伎に親しむ」歌舞伎の美/効果音
    • 出演:中村又之助、中村梅之
    • 美術:阿部英夫
    • 照明:中村幸穂
    • 評価:☆☆☆
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江戸東京博物館ホールでの若手役者によるこじんまりした歌舞伎公演。300人ほどの大きさの会場だが、入りは七割ほど。小学生ぐらいの子供の姿が目立つ。しかし会場の小ささは客と演者の距離が近い「芝居小屋」の雰囲気を醸しだし、手作り感ある舞台の雰囲気にも好感を持つ。大役者の公演ではないけれども「歌舞伎」芝居鑑賞の充実感は十分に味わうことができた。
第一部は「歌舞伎入門講座」。司会の又之助に軽妙さが足りない。この六,七月に観た国立劇場での「歌舞伎鑑賞教室」のようなユーモアのある演出で、歌舞伎独自の約束事を提示して欲しかった。いまひとつ盛り上がりにかける。

  • 第二部 伊達娘恋緋鹿子「櫓のお七」
    • 監修:藤間勘祖
    • 振付:藤間勘十郎
    • 美術:阿部英夫
    • 照明:中村幸穂
    • 出演:中村京妙、中村梅之
    • 評価:☆☆☆☆
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寺小姓に恋い焦がれる町娘を、文楽人形の動きをまねて演じる人形振りで表現した舞踊劇。舞踊に入る前に置かれたコミカルな対話のやりとりを含む導入部が効果的。現実の人間を様式化して真似た役者の動きに近づこうとした文楽人形を、さらに人間の役者が模倣するという倒錯。後見にささえられ、後見の動きに合わせて無機質に踊る人形振り独特の様式性の面白さに惹きつけられる。音楽は録音で生演奏でなかったのが残念なところ。

  • 第三部 増補・菅原伝授手習鑑「松王下屋敷」
    • 美術:阿部英夫
    • 照明:中村幸穂
    • 脚本・演出:兼元末次
    • 出演:中村又之助、中村梅之、澤村光紀、中村京妙
    • 評価:☆☆☆★
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「菅原伝授手習鑑」の「寺子屋」の場から派生した増補。作者は不詳だとのことだが、明治期の作品。ほぼ一世紀ぶりの復活上演だとのことだが、見せ場もうまく配置されていて見所のある作品だった。子役は一般公募だったそうだが、台詞は棒読みであるが、ハンサムな男の子だった。幼い理解のまま、忠義に殉じる無垢な感じがよく出ていた。
歌舞伎の芸の巧拙はまったくわからないのだけど、中村京妙の存在感あふれる演技には第二部の舞踊も含め惹きつけられる。
カーテンコールあり。こじんまりした環境で一生懸命芝居を作っている感じが伝わってきてちょっとじんとくる。

出演していた役者のブログが以下に。
http://blog.melma.com/00135602/20050908103401