http://www.zenshinza.com/stage_guide/gojunotou/index.htm
前進座公演
1966年以来上演を重ねている前進座の定番演目。五重塔建設をめぐる二人の職人の心意気を描く爽快な作品。親方大工のまっとうさ指向、その人物造形に投影された理想的な職人像にしびれ、流れの大工の十兵衛のいかにも職人らしい愚直な頑固さ、エゴイズムに共感し、感情移入する。いかにも古くささを感じるお芝居ではあるが、山本周五郎の小説を読んだとき感じるような、市井の人間の倫理観や筋の通った美意識が、よいテンポですっきりと整理されて提示されている傑作。五重塔建立の最後の場面では照明が明るくなったと同時に観客が拍手。思わず十兵衛の魂がこめられた五重塔の建立式に立ち会っているような心持ちになってしまうのだ。
浅草公会堂三階席は2000円という料金にもかかわらず3割ほどの入り。一階席にも空席がちらほら。ちょっと寂しい。