原題 : Chihawseon
製作年 : 2002年
製作国 : 韓国
- 監督:Im Kwon taek 林權澤 イム・グォンテク
- 製作:Lee Tae-won イ・テオン
- 原作:Min Byung-sam ミン・ビュンサン
- 脚本:Im Kwon taek 林權澤 イム・グォンテク,Kim Yeong-Ok キム・ヨンオク
- 撮影:Jung Il-sung 鄭一成 チョン・イルソン
- 音楽:Kim Young-dong 金永東 キム・ヨンドン
- 編集:Park Seon-deok パク・スンダク
- 衣装(デザイン):Lee Hye-ran リ・ヘラン
- キャスト(役名):Choi Min-sik 崔岷植 チェ・ミンシク (チャン・スンオプ),Ahn Seong Ki 安聖基 アン・ソンギ (キム・ビョンムン),Son Ye-Jin 孫藝珍 ソン・イェジン (ソウン),Yu Ho-jeong ユ・ホジョン (メヒャン)
- 評価:☆☆☆☆
李朝末期に実在した天才画家の伝記映画.韓国人の知人が絶賛していたのに好奇心を抱く.主演しているのが『オールド・ボーイ』で鮮烈な印象を残した名優チェ・ミンシクだったので劇場公開時から気になっていた作品ではあったのだが,歴史・伝記もののきまじめな雰囲気ゆえにこれまで手が伸びなかったのだ.
酒と女を愛した放浪の画家,という公開時の惹句ゆえ,破滅的な芸術家の生涯をドラマティックに描いたものかと思えば,さにあらず.もともとこの画家の生涯じたい今では不明なことが多いようだが,断片的なエピソードを淡々と並べることで,一人の芸術家の魂の孤高のありさまが浮かび上がってくるような作りになっていた.李朝末期は朝鮮史の激動期である.そうした時代の激動に翻弄されつつも,芸術家としての彼の自由な精神は失われることはない.環境の激変をそのまま受け止めつつ,生涯を通じて放浪生活を送る.衒いのない,素直な伝記映画だった.画家の心象を投影しているかのようなロングからの朝鮮の風景が美しい.