青年団国際演劇交流プロジェクト2007
- 作・演出:パスカル・ランベール Pascal Rambert
- 翻訳:松田弘子
- 美術:パスカル・ランベール
- 装置:鈴木健介
- 照明:西本彩
- 出演:永井秀樹、荻野友里
- 時間:一時間
- 劇場:東大前 こまばアゴラ劇場
- 評価:☆☆
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フランスの若手新進演出家で、この芝居はコメディ・フランセーズで上演されたということで期待して観に行ったのだが、僕には受け入れがたい舞台だった。作品メッセージは陳腐な恋愛譚であるが、表現スタイルはかなり前衛的である。
背景、側面、床は白一色。天井には蛍光灯が多数設置してあり、細長い白色のコード類が長大なミミズのように上方でだらしなく垂れ下がっている。
中型のバイクが一台中央に置いてあり、そのバイクを挟んで白いTシャツにジーパンの男女が一人ずつ立っている。上演中に一度この二人の位置が入れ替わっただけで、基本的には彼らは不動。足は肩幅に開かれ、手だけはときおり前後、上下にゆっくり動かすときがある。
ニューヨークとパリに離れて暮らす恋人のコミュニケーションのすれちがいを、詩的に描いた作品で、物語を追う作品ではない。10分弱のスケッチで構成されていて、各スケッチの間には車が近づくときのようなノイズと暗転が入る。かなり露骨なエロティックな台詞もあるのだが、男女が素っ裸にならないのが不満。あのテクストと演出だと当然そうなるべきだと思うのだが。下着姿にはなった。
会話ともモノローグともとれる詩的で退屈なつぶやきが一時間交わされるだけ。白一色の舞台美術と照明の変化が作り出す視覚的美しさ、女優がかなり美人系であったこと、時折美しい詩的なことばのイメージなど評価できる点はないでもないけれど、こけおどしの前衛的身振りが全面に出たつまらない作品だった。こうしたひとりよがりな表現は個人的には絶対評価したくない。この手のものをありがたがるのは、相当迎合的精神の持ち主であるような気がする。
国際交流ったってわざわざフランスから連れて日本で公演させるような代物ではあるまいに。平田オリザ作品のフランス公演用の人脈作りが目的か? 青年団がらみのフランスからの招聘演劇人として、ときおりこんなオナニー的な舞台を見せる輩がやってくる。助成金もらって舞台作るのが当たり前、って雰囲気がいかにも感じられそうな、身内・オタク向き作品。