閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ファイナルファンタジックスーパーノーフラット

劇団、本谷有希子 第12回公演
http://www.motoyayukiko.com/ffs/index.html

  • 作・演出:本谷有希子
  • 美術:中根聡子
  • 証明:中山仁
  • 衣装:鈴木美和子
  • 出演:高橋一生笠木望、吉本菜穂子、松浦和香子、高山のえみ、すほうれいこ
  • 劇場:吉祥寺 吉祥寺シアター
  • 上演時間:2時間
  • 評価:☆☆☆☆★
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マンガ・アニメの二次元美少女を愛するひきこもり青年が、ネットの掲示板で意気投合した少女に恋をする。これが劇の事件の発端である。
時代におもねった感もある陳腐で通俗的な設定と、極めて独創的な人間関係の描写が共存するちぐはぐな印象の舞台には、独特のえぐみがある。展開に強引なところや話のディテイルの処理が雑に感じられるところもあるが、物語の核となる部分の発想の斬新さには心を強く揺さぶる力強さがある。共依存に陥る登場人物の痛々しさに胸を打たれた。
ネットの掲示板、オタクといった風俗、宗教的な高揚の中の集団生活、共依存といったいまさら取り扱うには手あかが付いてしまった感のある風俗を物語の材料として取り込みつつ、極めて斬新な人間関係のあり方を提示することで、歯ごたえのある力強い物語が提示されていた。

信じるものなき現代日本社会における信仰のいびつさと切実さの問題を扱った作品のように僕には思えた。