人形劇団プーク
- 原作:R.S. Gannett My Father's Dragon 渡辺茂男訳『エルマーのぼうけん』(福音館書店)
- 脚色:川尻泰司
- 演出:郄橋博
- 人形デザイン:宮本忠夫
- 装置:星野毅
- 音楽:宮崎尚志
- 照明:前川裕幸
- 効果:鎌田敏昭
- 出演:大橋友子、安尾芳明、佐藤達雄、野田史図希、栗原弘昌、市橋亜矢子
- 上演時間:1時間40分(休憩15分含む)
- 劇場:南新宿 紀伊国屋サザンシアター
- 評価:☆☆☆★
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ガーネットの児童文学の名作、エルマー三部作の第一部を人形劇化したもの。プークでは1965年にこの作品を初演し、今回の公演は2001年の4回目の改訂版に基づくものだとのこと。
昨年、渋谷で見た『エルマーと16ぴきのりゅう』のプーク版は、多数のりゅうのぬいぐるみが舞台のみならず客席にまで飛び交う華やかで幸福感に満ちた翻案だった。今回見た『エルマーとりゅう』は正直なところ、『16ぴきのりゅう』での感動に比べると、脚本、演出ともかなり劣るように思った。ただし子供たちの反応はよかったし、僕自身もそれなりには楽しめた舞台ではあったのだが。
原作では少年エルマーが出発前に準備したあめやチューインガムやゴムひもなどの雑多なものを、どうぶつ島でのピンチ脱出の小道具として転換する鮮やかさが心地よかった。各ピンチごとにサスペンスがあり、そしてカタルシスがあった。今回のプーク版の脚本ではこの伏線の回収の快感が乏しい。
また一部の役者を除くと、各登場人物の性格付けが曖昧だった。動きや台詞回しでもっとキャラクター毎の個性を強調することで、さらに大きな喜劇性を得ることはできたと思う。
定番演目としては印象的な歌曲がなかったのも寂しい。観客の記憶に残るわかりやすくて美しいナンバーが欲しい。ミュージカルシーンの挿入のやり方にもいまひとつ洗煉されていない。
大きな舞台ならではの、船の嵐のシーンなどの大仕掛けは楽しかった。
でも宙乗りはもっと派手に、いきいきとやってほしかったなぁ。解放されたりゅうの喜びと冒険を達成したエルマーの高揚感がもっと表現されてもいいように思った。