加藤健一事務所 vol.67
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- 作:アラン・エイクボーン
- 訳:小田島恒志
- 演出:加藤健一
- 美術:太田創
- 照明:布袋雅樹
- 音響:松本昭
- 衣装:加納豊美
- 舞台監督:鈴木政憲
- 出演:加藤忍、蟹江一平、加藤健一、西山水木、辻親八、小山萌子
- 上演時間:2時間40分(休憩15分)
- 劇場:下北沢 本多劇場
- 評価:☆☆☆☆
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21世紀半ば、既に人間の役者はいなくなってして、アンドロイド役者がテレビドラマに出演するようになっていた。かつて喜劇映画の監督して活躍していたテレビドラマ・ディレクターは、プログラム通りにしか動かないアンドロイド芝居に演出をつけながらもうんざりしている。しかしそんなアンドロイド役者の中に、何かのプログラムミスのせいか、人間の言葉に反応して演技を自発的に行う特異なアンドロイド女優が混じっていた。撮影スタジオを訪れた若くて理想に燃える脚本家は、この個性を持ってしまったアンドロイド女優に大きな可能性を感じる。
近未来を舞台にした「ピグマリオン」もののバリエーション。一部の出演者を変更しての再演だが、出演者のアンサンブルが見事で、舞台としては完成度がとても高かった。すべての場面がきっちりはまるべきところにはまって、有機的に連係しつつ物語が展開していく。
お話のアイディアは、心を持ってしまったアンドロイドに恋をしてしまうというありきたりのもので、特に優れた戯曲だとは思わない。破綻なくきっちりと作られた佳品ではあったが。
アンドロイド俳優の「人形振り」ならぬ「ロボット振り」のコミカルな動きを使ったギャグが効果的に決まっていた。特に最後の場面のアンドロイド俳優の群舞は華やかで楽しさに満ちたもので、芝居のハッピーエンドをより効果的に盛り上げていた。
心を持ってしまったアンドロイド女優を演じた加藤忍がキュートで魅力的で、観客の心を引きつけていてた。見た目の愛らしさと愛嬌に加え、役者としての技量を存分に発揮し、物語の核としての役割をしっかりと果たしてた。
晴れ晴れとした気分で劇場を後にできる爽快な芝居だった。観客の満足度はとても高い芝居ではないだろうか。