閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

UNloved(2002)

http://shibalov.com/unloved/

他者にできる限りかき乱されることのない、ひっそりとした地味でつつましい生活、身の丈にあった生活を続けることで己をかたくなに護る30代の役所勤務の女性をめぐる三角関係の物語。まったくタイプの異なる二人の男が、この女性と恋愛関係を持つのだけれど、男は彼女が固執する安定した静かな生活の停滞ぶりに我慢できない。分相応にこだわる彼女の考え方、生き方はまっとうではあるものの、息の詰まるような退屈さにも満ちている。
密度の高い会話劇だが、3人の会話のやりとりは饒舌ではあるものの、棒読みでおよそリアリティに乏しい。ある種のアレゴリー劇なのだと思った。仲村トオルの一本調子、非人間的な雰囲気がこの作品では効果的に使われている。
ディアローグの人工性に比して、ちょっとぼやけてくすんだ色の画面による情景は、わびしく貧しいアパートでの生活ぶりにリアリティを与えている。救いのあるラストにほっとしてしまった。