閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

邯鄲

三条会 アトリエ公演

この春と秋の計4回のアトリエ公演で、三条会三島由紀夫の『近代能楽集』全作品の上演を行う。4月の第一弾では『邯鄲』と『綾の鼓』の二作品が上演される。団体の名称の「三条会」の語源は、「三島を上演する会」の頭文字だとプログラムにあった。そうだったのかぁ。
それにしても今年は『近代能楽集』の上演が多い。

中島みゆきの暑苦しい歌曲がフィーチャーされた暑苦しい舞台だった。戯曲のせりふ自体はそれほどいじっていない。とりわけ夢に入る前の外枠の部分の絵出は大人しい。夢の部分で一気に表現はエスカレートし、三条会風に作品はデフォルメされていく。
ナンセンスな喜劇色が強く面白い公演で十分に楽しめたのだけれど、こちらをはっとさせるような斬新な仕掛けは見当たらず。原作のテクストの印象より平板な感じの舞台になってしまったように僕は思った。