シェイクスピア・シアター
http://www2.odn.ne.jp/shkspr-thr/play.html
妖精たちによる夢幻劇、四人の恋人たちの恋愛喜劇、そして町の職人たちの素人芝居の三つの世界が明瞭に対照された演出で、恋の愚かさと喜びを多面鏡のように映し出される。アテネの公爵シーシュースとヒポリタと妖精の世界の王、オーベロンとタイテーニアのカップルを同一の役者が演じ分け、表の世界と「夏の夜」に現れ出る妖精たちの「裏の世界」の対照関係が強調される。
ファルス的な笑いを積極的に取り入れた四人の若い恋人たちの恋愛狂想曲がとにかく楽しい。そして浮き上がってしまいがちな職人たちの素人芝居の場面もうまく全体に統合されていた。妖精劇の部分が相対的に弱い。
この芝居のエンディングは、シェイクスピア劇の中でも屈指のものだと思う。狂った夏の一夜、幻想の夢を告げるパックのせりふはとても美しい。役者全員が舞台に登場し、正座して客席に対峙する最後の場面も緊張感があってとても印象的だった。