閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

夏の夜の夢

シェイクスピア・シアター
http://www2.odn.ne.jp/shkspr-thr/play.html

  • 原作:ウイリアムシェイクスピア
  • 翻訳:小田島雄志
  • 演出:出口典雄
  • 出演:平澤智之、高山健太、木村龍之介、住川佳寿子、佐々木暁子、木村美保;槇由紀子、伊野木英子
  • 衣裳:上地洋子
  • 音楽:福島一幸
  • 音響:実吉英一
  • 演出助手:折田幸子
  • 上演時間:2時間
  • 劇場:六本木 俳優座劇場
  • 評価:☆☆☆☆

妖精たちによる夢幻劇、四人の恋人たちの恋愛喜劇、そして町の職人たちの素人芝居の三つの世界が明瞭に対照された演出で、恋の愚かさと喜びを多面鏡のように映し出される。アテネの公爵シーシュースとヒポリタと妖精の世界の王、オーベロンとタイテーニアのカップルを同一の役者が演じ分け、表の世界と「夏の夜」に現れ出る妖精たちの「裏の世界」の対照関係が強調される。
ファルス的な笑いを積極的に取り入れた四人の若い恋人たちの恋愛狂想曲がとにかく楽しい。そして浮き上がってしまいがちな職人たちの素人芝居の場面もうまく全体に統合されていた。妖精劇の部分が相対的に弱い。
この芝居のエンディングは、シェイクスピア劇の中でも屈指のものだと思う。狂った夏の一夜、幻想の夢を告げるパックのせりふはとても美しい。役者全員が舞台に登場し、正座して客席に対峙する最後の場面も緊張感があってとても印象的だった。