閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ばけもの模様

http://mukidashi.com/japindex.html

  • 上映時間:93分
  • 初公開年月:2008/06/07
  • 監督:石井裕也
  • 脚本:石井裕也、登米裕一
  • 撮影:松井宏樹
  • 美術:沖原正純、内堀義之
  • 編集:石井裕也
  • 音楽:今村悠輔
  • 照明:小林万平
  • 出演:大鳥れい、桂都んぼ、潮見諭、稲川実代子
  • 映画館:池袋 シネマ・ロサ
  • 評価:☆☆☆★
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息子を海の事故で失ってしまい、そのショックで精神に変調をきたしてしまった妻、その妻を受け止めることができず自閉的態度をとる夫、車でメロンパンを伯母とともに売る頭の弱い男、男の「保護者」である伯母の四人が主な登場人物。

前半は人物の言動の奇矯さを強調した脱力系の笑いの表現がありきたりに感じられ、まったく面白くなかった。B級のナンセンス・コメディの雰囲気が漂う。後半になっても登場人物は、行動の歯車がかみ合わない異常な言動を繰り返す。しかし油が切れた機械を無理矢理動かすような登場人物の行為が、喪失による虚無感を埋めて行く作業であることが徐々に明らかになっていくにつれ、その痛ましさと切なさに引き込まれてしまう。最後には、解決に向うようで結局は解決しない悲痛な現実は消えることはないが、時間の経過とともにゆっくりと安らかな方向へと変質していく様が暗示されているように思えた。とらえどころのなヘンな映画だった。