- 原作:イヨネスコ『授業』
- 構成・演出:李潤澤(イ・ユンテク)
- 出演:Street Theatre Troupe;Lee Seung-heon, Kang Young-hae, Kim So-hee
- 劇場:新宿 タイニィアリス
- 上演時間:1時間
- 評価:☆☆☆☆★
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イヨネスコの『授業』のイ・ユンテク版。韓国人俳優によって演じられる。全編韓国語で字幕もごくわずかしか出なかったため台詞は理解できなかったのだが、原作を大幅に変更しているようには見えなかった。むしろ原作にきわめて忠実な舞台に思える。
一昨年、イヨネスコの出身国であるルーマニア隣国、モルドバの劇団による『授業』の公演を見て、その荒々しい攻撃性と猥雑なエネルギーに圧倒されたのだけれど、イ・ユンテク版の『授業』は破壊力はそれ以上だった。残酷な笑劇(ファルス)という作品の本質が浮き彫りになる。知的で洗練された解釈、演出によって、暴力がグロテスクに効果的に強調される。
劇行為は優れた指揮者に導かれたオーケストラの演奏のように、絶妙の緩急と強弱を繰り返しながらカタストロフィへと進行していく。原作の精神にきわめて忠実でありながら、原作で提示されている要素が、精巧な機械仕掛けのアンドロイドを思わせる役者の演技を通して、増幅されていく。
韓国語上演で台詞が理解できないという大きな障害があったにもかかわらず、言語の壁を超えてきわめて刺激的で面白いイヨネスコ『授業』の公演だった。
黒背景で、左手奥に洗面台、中央にテーブルと椅子があるだけの簡素な舞台美術だったが、照明の使い方が抜群にうまくて、荒涼とした室内情景を劇の場面に合わせてニュアンス豊かに浮かび上がらせていたことも印象に残る。