東京デスロック
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- 原作:シェイクスピア「ロミオとジュリエット」
- 構成・演出:多田淳之介
- 照明:岩城保
- 音響:泉田雄太
- 出演:キム・ユリ、佐山和泉、カン・チョンイム、イ・ユンジェ、クォン・テッキ、キム・ソンイル、オ・ミンジョン、イ・クノ、パク・キョンチャン、チェ・ソヨン
- 上演時間:1時間50分
- 劇場:鶴瀬 キラリ☆ふじい マルチホール
- 評価:☆☆☆☆★
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ギミックの提示ばかりが強調され、戯曲が演出家の演劇的創意の容器に過ぎないように思えるのが愉快ではなくて、このところ多田演出とは相性がよくないなと感じていた。
しかしこの『ロミオとジュリエット』はとても好きな作品だ。これまでの作品でも使われきた数々のギミックが物語の枠組みのなかで昇華され、物語の内容と有機的に結びついているように思えた。そして表現のエネルギーの強度が圧巻だった。韓国人役者の絶叫にしびれるような感動を味わった。全身からふりしぼるような「ロミオォォォォォッ」の絶叫のすばらしさに心が震える。不条理で悲痛で滑稽で悲壮なロミオとジュリエットの悲劇が、刺激的、攻撃的、遊戯的、挑戦的、破壊的に再生される。僕が見たデスロックの作品のなかで一番好きな作品は何年か前に春風舎で見た「再生」だった。集団自殺直前の狂騒、エネルギーの爆発のありさまが三回反復される作品だ。この作品では物語が徹底的した不在が不気味な効果を生み出していた。そして『ロミオとジュリエット』韓国版では、「再生」では拒絶された物語のなかで用いられてきた表現が、愛と死という伝統的でシンプルな物語のなかで用いられ、劇的な効果を生み出していることにちょっと感動してしまった。