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プリンセスと魔法のキス(2009) THE PRINCESS AND THE FROG
- 上映時間:97 分
- 製作国:アメリカ
- 初公開年月:2010/03/06
- 監督:ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ
- 製作:ピーター・デル・ヴェッチョ
- 製作総指揮:ジョン・ラセター、アギー・コー
- 原案:E・D・ベイカー
- 脚本:ロブ・エドワーズ
- 音楽:ランディ・ニューマン
- 声の出演(日本語吹替版):鈴木ほのか、丹宗立峰、石住昭彦、安崎求、荒井洸子、小林アトム、駒田一、三瓶由布子、玄田哲章、三上市朗
- 映画館:東武練馬 ワーナーマイカル板橋
- 評価:☆☆☆☆★
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舞台は20世紀はじめのニューオリンズ。とある国の王子がやってくる。音楽とダンス、そして女性を愛する王子は放蕩がたたって親から勘当されている。黒人のヒロインは、亡き父親と夢見たケイジャン料理のレストランを開くことを目指している。この二人が魔法によってカエルになってしまった。遊び人で苦労知らずの王子と堅実で現実的な黒人女性がカエルの姿で旅をする。ジャズバンドで演奏することを夢見るワニ、夜空の星に恋するホタルが二人の旅を支える。旅の過程で二人は成長していき、そして愛情が芽生える。
ミュージカル仕立ての古典的ディズニー・アニメ。青色が基調の美しい画面となめらかなアニメーションの動きが、とても新鮮にみずみずしく感じられる。プリンセスものの定型を大枠で踏まえつつ、ディテイルに洗練されたパロディを組み込むことで現代的な感覚の物語を作り上げている。脚本がとてもよく練られていて、人物造形は魅力的だし、伏線が丁寧に効果的に回収され心地よい。音楽はディキシーランド・ジャズ風のアレンジの洒落た曲が多かったが、記憶に残りやすい美しい旋律のテーマソングがあればもっとよかったように思う。プリンセス・ファンタジーの傑作だと思った。私はもともとこの手のお姫様ものには興味はないのだけれど。オープニングの回想シーンから一気に引き込まれる。物語の美しさに、後半、泣きながら見ていた。
一昨日に見た『ドラえもん』と比較してしまう。『ドラえもん』はキャラクター設定、物語展開の約束事のなかで表現が硬直し、自由な発想力が枯渇してしまっているように思える。それでも客は入るのだけれど。 『プリンセスと魔法のキス』は定型を利用しつつも、ディテイルをパロディとして巧みに裏返すことで古い世界に新たなダイナミズムを導入することに成功している。ほんのわずか視点をずらして世界を見直すことで、古くさい定型に瑞々しい活力を与えることができるのだ。