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チェルフィッチュ
- 作・演出:岡田利規
- 照明:大平智己
- 音響:牛川紀政、林あきの
- 出演:山縣太一、安藤真理、伊東沙保、南波圭、武田力、横尾文恵
- 劇場:ラフォーレミュージアム原宿
- 上演時間:70分
- 評価:☆☆☆☆
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とある会社で働く人たちが登場人物の三部作。
動きが抑制され静かに進行する前作「わたしたちは無傷な別人であるのか?」と違い、役者たちは音楽に合わせ身体をくねくねと動かしながら話す。あんな風に体をぐるぐるうごかしながら、だらだらととりとめもないしゃべりを続けて授業をやったら楽しいかもしれない。やってみたい。
非定型的舞踊は脱力し、リラックスした自律的運動のように思える。厳格さはないけれど執拗に続く反復に「いい加減にしろっ!」と思った瞬間もあったけど、全体としては楽しんで見ることができた。何回か爆笑する。チェルフィッチュを見て爆笑したのははじめてかもしれない。ダンスとは普通結びつかないような場と人物をしっかりダンスとして成立させている斬新さに感心する。「クーラー」のデュオのルーズでありながら、絶妙のコンビネーションがとりわけ印象に残る。
会場は三〇〇人ぐらいは入る大きさ。通路も埋まる満員の客席。
「ホットペッパー」は首都圏の飲食店の情報や割引クーポンが掲載されている無料の情報誌。地下鉄の駅などに置いてあるのを見たことがあるような気がする。ウェブサイトもある。http://www.hotpepper.jp 女二人と男一人の派遣社員が契約切れで退職する同僚の送別会について相談するのだが、三人の話の重点がずれていてかみあわない。それでもかろうじて話題のすりあわせが徐々にゆっくりと互いに小さな妥協を重ねるようなかたちで成立していく。ジョン・ケージのプリペアード・ピアノための作品にあわせ(かっこいい曲だ)それぞれがくねくねと踊りながら自分の意見を述べる。音楽に合わせて変化するネオンサインのような照明が洒落ている。
「クーラー」はその同じ会社の正社員男女二人のやりとり。やりとりそのものは契約社員三人のやりとりよりも対話になっている。23度強風に設定されたクーラーが寒すぎてたまらない、と女性社員が繰り返し訴える。男性社員は滑稽な動きを持続的に行い、女性の訴えをはぐらかしたり、ちゃんと応答したりする。「ホットペッパー」の派遣社員たちはそのやりとりを舞台に残ったまま、ぼーっと眺めている。
「そしてお別れの挨拶」は退職する女性社員の別れの挨拶の独演会。かなり激しい動きをしながら女性社員は別れの言葉を述べる。その言葉は彼女の動き同様非定型的でだらだらと続きとりとめがない。後ろにはコルトレーンのジャズが流れる。