中国の四川省の伝統演劇、川劇(せんげき)によるオニールの作品の翻案。
京劇のようなはっきりとした様式性を持つ音楽舞踊劇だった。ただ京劇に比べると音楽にモダンなアレンジが加えられ派手、演者の動きはアクロバットよりも優雅さが強調されているように思った。演者の歌のうまさ、舞踊のキレの良さが素晴らしい。オニールの原作が持っていたであろう深みは様式の枠にはめられることで平板で素朴な寓話風になっていたが、川劇の様式性を生かした優れた翻案であるように思った。
しかしあの中華風の音楽が私の睡眠波長と見事に同調してしまったようで。強烈な催眠作用によってぐっすり眠ってしまった。気を失って、気がついたら「終劇」。ああ何をやっているのだ。そんなに寝不足というわけでもなかったのに。かつて玉三郎による昆劇『牡丹亭』を見ているときにやはり熟睡してしまったが、あの中華音楽のふにゃらら〜っというのに弱いらしい。まあでも今日はいい眠りだった。まるで麻酔で眠らされたかのような感じだった。眠りに行ったわけではないのだけれど。