閑人手帖

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資本主義崩壊へのレクイエム(『作品No.7』 改訂再演)

OM-2
OM-2|「作品No.7 」改訂再演 公演詳細

  • 構成・演出:真壁茂夫
  • 音楽監修:奥原匡光 
  • 作曲・編曲:佐々木敦、小田善久、他
  • 出演:佐々木敦、中井尋央、柴崎直子、丹生谷真由子、平澤晴花、金原知輝、吉澤啓太、村岡尚子、大根田真人、TAKESHI ほか
  • 劇場:町屋ムーブホール
  • 上演時間:100分。
  • 評価:☆☆☆☆
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この2月に上演された『作品No.7』の改訂再演。『作品No.7』の感想はこのブログの以下のページにある。
http://d.hatena.ne.jp/camin/20100212
改訂再演にあたって「資本主義崩壊へのレクイエム」という仰々しいタイトルが付けられた。作・演出の真壁茂夫氏の作品を通した社会への異議申し立ては真摯なものであることはわかるけれど、このタイトルのせいで観客に委ねられている作品解釈の自由度は狭まってしまったように思う。

各演者の持つ表現能力のポテンシャルを絞り出したかのような素晴らしいパフォーマンスだった。しかし前回の公演を見たときほどには心動かされなかった。前回は表現のなかに引きずり込まれたような感覚を味わったのだけれど、今回は熱演を外から眺める感じ。なぜだろう?こちらの体調などの問題もあるのだろうが

客席は壁際に沿って一列二層で設置されている。二層目座席は鉄パイプと鉄板で組まれた工事現場の足場のような場所にあった。私は階段を上って二層目客席から見た。情報から見下ろしてみたかったのだ。

構成されるプログラムは前回に比べて増えている。上演時間も前回より長くなり、今回は1時間40分ほど。最初のパート、巨漢特殊パフォーマーの佐々木敦のソロパートは前回とほぼ変わらなかったが、その後に続く合奏のパートには大きな変更が加えられていた。ドラムスティックによる椅子ドラム合奏、鉄パイプと鉄板で組まれた不安定な櫓のうえでの家族芝居と櫓をスティックで叩く合奏、小太鼓、シンバルと大太鼓の合奏、そしてフィナーレは円陣を組んでの合唱。フィナーレの合唱はおどろおどろしさと美しさが共存している。合奏、合唱のレベルは相当なものだ。このレベルに達するのに演者はいったいどれほどの練習を重ねたのだろうか。
断片的な台詞がある。この台詞のテクストにあまり魅力的を感じなかった。ステレオタイプな資本主義への呪詛で、どこかで聞いたような観念的な批判で言葉が空回りしている感じだ。前回の公演では台詞らしい台詞はなかったように思う。ないほうがよかったと私は思った。