- 上映時間:152分
- 製作国:日本
- 初公開年月:2010/12/18
- 監督:熊切和嘉
- 企画:菅原和博
- 原作:佐藤泰志
- 脚本:宇治田隆史
- 撮影:近藤龍人
- 美術:山本直輝
- 編集:堀善介
- 音楽:ジム・オルーク
- 出演: 谷村美月、竹原ピストル、加瀬亮、三浦誠己、山中崇、南果歩、小林薫
- 映画館:渋谷 ユーロスペース
- 評価:☆☆☆☆★
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北海道函館市をモデルにした架空の町、海炭市(かいたんし)を舞台にこの町の住人の日常を描く連作小説映画。五編のエピソードからなる。
海炭市は造船で栄えた町だったがこの映画ではその産業も傾き、停滞感と倦怠感に覆われた陰鬱な町になっていた。そこで暮らす人々の生活も町の雰囲気がそのまま投影されたような重苦しい閉塞感に包まれている。この映画で描かれる日常のエピソードには明日への希望が感じられない。澱んだ日常の蓄積に日々押しつぶされてしまいそうな散文的で救いのない日常が描かれる。しかしそうした散文的風景が重なることで、その灰色の画面にやるせなくはあるけれども叙情的な美しさが現れ出る。それが感動的だ。ジム・オルークのアコースティックな音楽が情感を効果的に盛り上げる。
ジョイスの『ダブリン市民』を連想させるような作品だった。原作の小説も読んでみたい。