ままごと
http://www.mamagoto.org/ayumi-2011.html
- 作・演出:柴幸男
- 舞台監督:佐藤恵
- 美術:青木拓也
- 照明:伊藤泰行
- 音響:星野大輔
- 演出助手:きまたまき/辻村瑛子
- 宣伝美術:セキコウ
- 制作協力:佐藤泰紀(急な坂スタジオ)
- 制作:ZuQnZ [大石将弘/加藤仲葉]
- 製作総指揮:宮永琢生
- 企画制作:ままごと/ZuQnZ
- 出演:秋葉由麻、黒宮万理(少年王者舘)、鈴木亜由子(ザ・シャカリキ)、長沼久美子、藤吉みわ、フタヲカルリ(劇団あおきりみかん)、真嶋一歌、吉田愛(オイスターズ )
- 劇場:森下スタジオ Cスタジオ
- 評価:☆☆☆☆★
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2008年6月にこまばアゴラ劇場で見た『あゆみ』に大きな感銘を受け、それ以後、この作品の短編版や青森の高校生版を見ている。
今回は10歳の娘と一緒に観に行った。
観ている間、耳の後側がずっとじんじんと熱を持っていた。芝居が始まる前の気配で、既に身体の芯が痺れたような感覚に襲われていたた。この芝居では人生の平凡が文字通り劇的な手法によって再現される。この表現の逆説の強烈さに心を激しく揺さぶられる。陳腐極まりない過去への感傷に、支配され、その通俗的な甘さに陶酔してしまった。あれはほとんど魔法のようなものだ。
私が柴幸男の「あゆみ」にこれほどまでに心動かされるのは、やはり自分が娘の父親であるというのが大きい。あゆみの一生に自分の娘の過去・現在・未来の姿を重ねないというのはまず不可能だ。「あゆみ」はこういった俗情に訴えかける仕掛けが明け透けなところが巧妙であざといも言える。
意外なことに娘は「あゆみ」より「わが星」のほうが面白かったとのこと。あゆみの人生に、自分の人生のこれからを重ねるという具合には見ることができなかったのかもしれない。「あゆみ」はやはり過去を振り返るノスタルジーの演劇ということか。
何回見ても面白いし、感動的な芝居ではあったが、今回の版では、2008年版にあった終盤のダンスの場面が省かれていて、演出はよりストイックなものになっていた。2008年版ではずっと音楽なしで進行していて、最後にあのダンスが現れるところで感情が一気に爆発するような解放感と喜びを感じたので、個人的には今回の版でダンス場面がなくなっていたのが少々残念だった。